宮崎県延岡市にある行縢山を望む自然に囲まれた地。
そこに紀州400年の伝統を受け継いだ炭焼き窯がある。
目指すのは強く優しい炎
2023年 この地から行縢備長炭の歴史が始まったー
伝統のある紀州備長炭で学んだ技術を宮崎の地へ伝える。
備長炭の三大産地である土佐(高知)、日向(宮崎)備長炭づくりも、こうして紀州(和歌山)から伝わった。
2023年から一人で始めた窯づくり。
紀州で学んだ基礎を、この地に合わせて変化させていく。
100年、200年後に技術を残すための行縢備長炭の歴史が始まった。
伝統的な無駄のない製法
行縢備長炭の製造過程では一度も窯を冷やさない。熱を保ったまま作業を行うことで効率よく備長炭を生産できる。県内ではここだけで行われている伝統的な無駄のない製法である。
使用するのは宮崎の樫(カシ)の木。紀州の技術を全て使ってでも焼けなかった宮崎の樫。さらに新しい技術を生み出さないと行縢備長炭はできなかった。
窯が仕事をしている
職人の手によって、この地にいちから作られた窯。様子を伺いながら熱を調整してあげると、自然に窯が仕事をしてくれる。そこには熱せられた窯を前に、大粒の汗をかきながらも直向きにいい炭を追求する職人の姿がある。
季節や木の水分量で灰の厚みは毎回変わり、厚みで炭化も変えるため無限大の選択肢から判断する。手を抜かず、誰もが苦しくて苦手な作業を丁寧に行うことで品質は守られる。
目指したのは強く優しい炎
こうして作られた白炭は、燃焼時間が長く火力が強いのが特徴で、赤外線の量が高く、表面をまんべんなく均一かつ一気に焼き上げることができるため、食材の美味しさを失うことなく短時間で焼くことができる。
行縢備長炭が目指したのは強く優しい炎。紀州が剛ならうちは柔。柔に火力を求めるのは苦戦した。紀州の高火力で柔らかさを出そうとすると炎が鈍くなるため、行縢備長炭ではあえて強く柔らかい炎を強調している。